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建設業界における人手不足の現状とその影響について解説

近年の建設業界において、人手不足が大きな課題となっています。

主な要因としては、人口減少や若年層の建設業界への入職の低下、高齢化による退職者の増加などが挙げられます。

本記事では、建設業界における人手不足の現状とその影響、人材確保のための取り組みなどについて詳しく解説します。

建設業界における人手不足の現状

まず、建設業界における人手不足の現状について解説していきたいと思います。

人手不足が深刻化する背景と要因

人口減少による人材不足
日本人の総人口は2010年には128,057万人に及んでいましたが、人口減少によって2021年には125,502万人になりました。
(参照:https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2021np/index.html

そのため、建設業に限らず多くの業界において人手不足が叫ばれています。
若年層の建設業界への志向性の低下
若者の建設業離れも、人手不足の要因として挙げられています。

就労者を5歳ずつのセグメントに分けた際、15歳〜19歳と20歳〜24歳は全年齢層の中で最も就労人口が少なくなります。


(引用:国土交通省「建設産業の現状と課題」より)

若年者層の建設業へのイメージで「肉体労働・汚れ作業等が多い」「危険作業や事故が多い」などのネガティブなものが多く、若年者層が建設業を敬遠していることも、建設業の人手不足に拍車をかけています。
(参照:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000182816.pdf

高齢化による退職者の増加

建設業界における高齢化も、人手不足の大きな原因です。先程のグラフの中でも、65歳以上の人口は全年齢層の中で2番目に多くなります。

長年の経験を積んだ職人が多く、その人材を失うことは大きな課題となっています。

また、高齢者の身体的な問題や就業意欲の低下によって、定年後の再雇用や継続雇用が困難となっています。

建設業界における人手不足の影響

それでは、建設業界における人手不足がどういった影響を及ぼすのかについて解説します。

建設業界における人手不足がもたらす影響

工期の延長や工事の遅れ
建設業界における人手不足が深刻化すると、工期の延長や工事の遅れなどの問題が生じることがあります。

建設現場では、作業スケジュールや職人の配置などが計画的に行われる必要がありますが、人手不足によってそれらがうまく機能せず、工期の延長や工事の遅れが生じることがあります。
品質の低下やトラブルの発生
人手不足による品質の低下やトラブルの発生も、建設業界における大きな問題となっています。

建設業界では、職人の技術や経験が重要な役割を果たすため、職人不足による品質の低下が懸念されます。

また、人材確保が難しい場合、経験の浅い職人が入ることもあり、技術的なミスやトラブルが発生することがあります。
コストの増加や利益の低下
人手不足によるコストの増加や利益の低下も、建設業界に大きな影響を与えます。

建設業界は労働集約型と呼ばれ、人件費の割合が大きくなりますが、人手不足によって職人の賃金が高騰し、コストが上昇する可能性があります。

また、工期の延長や工事の遅れなどが発生することで、コストが増加することがあります。

人手不足がもたらす社会的な影響

住宅や公共施設の建設の遅延
人手不足による工期の遅れは、住宅や公共施設など、そこに暮らす人々の生活にも直結します。

例えば道路の舗装が進まなかったら、そこで歩く人々に影響が出ます。

また、災害対策が不十分であれば、災害が起きた際に被害が甚大になってしまう可能性があります。
経済成長への悪影響
人手不足は国内の経済成長に悪影響を与える可能性があります。

人手不足によって工期が遅れたり、施工の計画が中止になることで、建設業から他の産業やサービス業への経済波及効果が機能せず、経済全体に悪影響が及ぶことがあります。

建設業界での人材確保のための取り組み

ここでは、建設業の人手不足に対する人材確保に向けた取り組みについてご紹介します。

若者の就労支援



人手不足の対策として、若者への就労支援が挙げられます。

例えば、若者の入職促進として、ポータルサイトの活用、出前講座、工事現場の見学会、現場実習、インターンシップの実施など、若者が建設業を身近に感じ、建設業へのハードルを下げる取り組みなどがあります。
(参照:https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h24/hakusho/h25/html/n1311000.html

また、学校側でも、未来の建設業従事者を確保する為に新たな取り組みを始める事例もあります。

例えば岐阜県立大垣工業高等学校では、学内、学外の2軸でイベントを継続的に実施し、地域と連携して、中学生や小学生、その家族に向けて建設業の魅力をPRし、多くの参加者を集めることに成功しました。
(参照:一般財団法人建設業振興基金「工業高校・建設会社の取組事例集2020~建設業の魅力を中学生へ伝えるために~」)

女性活用の推進

人手不足が深刻化する中、建設業界では女性の活用を推進しています。女性が建設業界に参入することで、職場の多様性が向上し、人材確保の一助となります。例えば、「一般社団法人 日本建設業連合会」では建設業に従事する女性を「けんせつ小町」として打ちだし、建設業における女性就労をを推進しています。
(参照:https://www.nikkenren.com/komachi/

また、国土交通省は、「令和2年1月16日、「女性の定着促進に向けた建設産業行動計画~働きつづけられる建設産業を目指して~Plan for Diverse Construction Industry where no one is left behind」を策定し、建設業における女性の定着促進に向けて、「働きつづけられるための環境整備」を中心に官民一体となって取り組むことを発表しています。

発表の中では、女性の様々なライフイベントにおける復職をCCUSに反映させて発信したり、女性の就業継続にむけたキャリアパスやロールモデル集、現場で快適に使えるトイレなど、様々な事例を発信しています。
(参照:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_tk1_000088.html

教育・研修プログラムの充実

建設業界において、「職人は技を盗め」と言われるように、スキルを体系化して伝承するといった文化が希薄でした。

ですが、人手不足によって、職人の早期戦力化が求められており、体系立てた研修プログラムを策定し、建設業従事者のスキルアップが必要になります。

例えば国土交通省は「建トレ」というサイトを公開しており、様々な職種の技術を動画で学べるようにしています。
(参照:https://kensetsu-shokunin.jp/

まとめ

いかがでしたでしょうか。

建設業の人手不足は深刻な状況にあり、様々な対応策が求められています。

建設業の人手不足の問題は、私達の暮らしや国内経済にとっても大きな課題であり、様々な切り口で解決を試みていく必要があります。

助太刀ブログでは、今後も建設業の人手不足に関する情報や事例について発信していきますので、ぜひご覧ください。

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この記事を書いた人

助太刀編集部

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